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「Little Spring」のおまけABC。

 
「人けの無い夜の街、降りしきる雪の静けさの中、近づく二人の影……
 告白しておくには絶好のシチュエーションだぜ!」
「いやいやいや、しないからっ!!!」


ちなみに没台詞。
終盤にマジで入れようと思っていたのだけど、空気読めよもいいとこなので自重した(^ワ^)


以下はSSに入りきらなかったおまけ裏エピソード集。

「Little Spring」を読まれてからどうぞ。多分、読んでないと話が繋がりません。
全体的に蛇足っぽいです。
本編中でぼかした部分ほぼすべての解答を書いちゃったので、これはこれでどうなのだろう…。
内容的に入れられるわけがない部分なのだけど、話が浮かんじゃうからリトバスこわい!
ぶっちゃけなくてもいいし、ない方がいいかもとも思うのでブログにだけこっそり置いておきます。


以下は各解説。
ほとんど話は繋がってないので、気になったのだけでもどうぞー。

A:ことの発端が何故起こったのかというツッコミへのアンサー。
  バスターズフルキャストの短いどたばた会話劇。

B:Aの話と本編の裏話。来々谷さんと謙吾の会話メインで、恭理←姉御的な。

C:恭介と理樹、幼少時代のおみくじエピソード。
  本編を書いてる途中でこれ単体でも話作れるよね?と思ったので、
  さらっとだけ書いた挿入話の簡易SS版。
  ただし、本編では書かなかったオチあり。
  一応恭理SSでこれやるのはどうかなーと思って削ったのですが。
  ここまで含めて書いてたら後味がけっこう違った感じになってたかも。


来々谷さんの台詞を書くのが楽しすぎました。





A.なぜ鍋が空になったのかについて

「さて、諸君。みなで一つの鍋をつつき合った結果、空になったわけだが」
「たべたりない」
「食べたりねーな」
「どちらかというと少食な方なのですが……たりませんね」
「成長期の男子の適切な食事量、とは言えないな」
「わふー…。持ってきた材料、すくなかったでしょうか……。すみません…」
「クドのせいじゃないよ、みんなで食材持ち寄る予定だったんだし」
「えーと、うーんと……あっ!お菓子ならあるよー?」
「菓子だけじゃ膨れねえよなあ……」
「な、なにー!おまえ、こまりちゃんのお菓子が食べられないっていうのかっ。
 こまりちゃんのお菓子は、すっごくおいしいんだぞっ」
「ほわあ、りんちゃん!りんちゃんの分もちゃんとあるよ、だいじょーぶ!」
「このわたくしが飛び入り参加したばかりに宮沢様の胃袋が満たされないままお開きだなんて……
 不覚ですわぁー!」
「うわあっ、笹瀬川さん落ち着いて!このタイミングで窓から部屋出ようとしないでっ!」
「ふむ。飛び入り参加二名の存在よりむしろ、材料を忘れた若干名のせいだろう」
「さっすが真人くん、みんなの期待を裏切らないいえーい!」
「葉留佳、あなたも同罪でしょ。人のこと言えないじゃない」
「人のこと言っといてお前も仲間かよっ!」
「やはは、おねーちゃんったらそれは言わない約束!」
「そんな約束した覚えないわ」
「がーん!はるちんショッーク!かなたおねーちゃんテキビシーですヨ…」
「というか、二日くらい前に買い物付き合ったわよね?
 なんで当日までに材料ひとつも無くなってるのよ」
「およ?それなら昨日の夜、冬休みなのに欠かさず勉強に励む姉のためにお夜食作ったからかな?
 ほめてほめてー」
「……っ!!は、葉留佳っ、あなたって子はねえ……!」
「頬がにやけているぞ、二木女史」
「お疲れの佳奈多さんのためならのーかうんと、のーぷろぶれむなのですよー」
「あれ?真人は何で忘れたの?」
「ふつうに食っちまったからだな。枕元にうどんとかそばがあったら食うだろ。
 理樹は机の下に隠してたからよかったけどよ、枕元に置いてたら危なかったぜ?」
「置かないから!そもそも枕元に置いとかないでよ!!」
「井ノ原さんに主食の買い出しを頼んだのは失敗、でしたね……」
「ともかく、食べ足りないのは全員一致でいいな。
 この手はなるべく明かしたくなかったが、しょうがねぇな」
「えっ!恭介、まさか用意があるの?」
「フッ……俺を誰だと思っている?」
「どきどき…」
「商店街を抜けた先のスーパーは年末年始も午後9時まで絶賛営業中だ!」
「なっ、なんだってー!!そうだったのかー!……ってあれ?みんな驚いてないね?」
「ありゃ?知ってたのかよ」
「この馬鹿、使えないな」
「えー、はるちんこんな寒い中買い出し行きたくなーい」
「昨日の夜は雪降ってたよね。ほわいと年越しっていうのかなぁ」
「悪くない言葉の響きだが……今は降っていないから微妙な所だろう」
「おねーさんは『いやだ、動くのめんどくさい』とやんわりと拒否の姿勢を示しておこう」
「来々谷さん、それ、全くオブラートさに欠けてますわよ?」
「でも、まだお開きにするには少し早い時間ね」
「そうだね。買い出し行って二次会ってことにしようか?」
「おうよー」
「よっしゃー!」
「はいですー」
「うみゅ」
「構わん」
「おっけーだよー」
「同じくですわ」
「……賛成」
「やむを得まい」
「皆さんと同じ…です」
「問題は誰が行くかってところか。どうする、リーダー?」
「えーと……じゃあここは公平に、じゃんけんで」
「よしきたあ!最初はぐー!……つったら開始か?」
「ほわあっ、真人くんはやいよー」
「こらーっ!うっかり出しそびれるところだっただろ!理樹、おまえがやれっ」
「あ、うん。じゃあ、負けた順で二名選出ね」


「せーのっ!最初はぐー!じゃんけん――」

(結果は推して知るべしということで。)





B.Side リトルバスターズ


「不服だ」

「おねーさんは不服だぞ。謙吾少年、こっちへきて酌をしろ」
「未成年だぞ、来々谷」
「このゲームに登場するキャラクターは十八歳以上だ。
 リトルバスターズ!はエロゲーとしても発売している」
「舞台裏だからってメタな発言をしないでくれ……。
 それと日本の法律では成人するまで酒は飲めんぞ」
「誰がエチルアルコール分を1%以上含む飲料だと言った?……ここに甘酒がある」
「…………む」
「はっはっは、驚きのあまり口もきけないか。うむ、痛快だ」
「まあいい。しかし、晩酌などは他の女子に頼んだ方がお前好みじゃないのか」
「その推察は正しい……が、可憐で繊細な美少女達の心を煩わせるのは不本意なのだよ。
 その点、謙吾少年がいかに硝子のハートの持ち主でも私の知ったことではない」
「二重の意味で辛辣だな……」
「まあ聞け。謙吾少年の目から見て、先ほどのじゃんけんはどうだ?」
「なんだ、そんなことか。理樹らしい無難な選択だろう。
 下手に特殊なルールを持ち込んだ賭け試合を始めたら閉店時間に間に合わ…」
「違う。そんな些事はどうでもいい。問題は恭介氏の動きだ」
「……よく見ているんだな」
「この程度、容易いよ。さて、どうだ。
 剣の道で鍛え上げてきた君の、人並み外れた動体視力で捉えたところ」
「来々谷も似たようなものだろう」
「君ほどじゃないよ」
「謙遜はよせ。しかし、確かにあれは……」
「やはり気づいていた、か」
「結果はどうせ運次第だ、こすい手という程ではあるまい。
 事実、気づいたのは俺とお前くらいだろう」
「ほんの一瞬だけ遅くとはいえ、後出しはルール違反だ。指摘しようがないのが残念だよ」
「恭介だからな。昔からあいつは何でも上手いことやってみせる」
「それが気に入らん」
「許してやってくれ。ここの所あいつがずっと就活に奔走していたのは事実なんだ。
 それに……理樹にとっても、いい機会だと俺は思う」
「……私はむしろ、そっちの方が……。とにかく、だ」
「なんだ?」
「同じクラスだ、君も知っての通りだろうが敢えて言う。授業中、物憂げな表情で窓辺を見上げる
 理樹君の女子力にはさながら恋する乙女も裸足で逃げ出すぞ。
 ……何を待っているか、一目瞭然じゃないか。
 なぜ真人少年は隣の席で、しかもルームメイトとして四六時中そばに居てあれに耐えられる?」
「それは……真人が真人だからだろう」
「不服だ」
「そう立腹するな。然程遠くない、じきに戻ってくるだろう。晩酌…だったか?付き合おうじゃないか」
「潰れるまで帰さん」
「無茶を言う。……というか寒いな、ここは」

「あーっ!姉御、みーっけ!……ってうああ!謙吾くんと二人で庭に出てたかと思ったら、
 甘酒二人占めなんでずるいっすよー」
「ゆいちゃん、抜け駆けはだめですよー」
「……ゆいちゃん、はやめてくれ」





C.あの日の春

 揺れる木々のざわめきは深夜の魔物の叫び声だった。
 真夜中の境内に吹く風は何かとてつもなく恐ろしいものを呼び起こす呪文に聞こえて、
 思わず子供は尻すぼみしてしまう。さっきまで動いていた膝は震えるだけで用をなさない。
 もう一歩も身動きが取れそうになかった。
「りん?」
 後ろからついてきてたはずの女の子の姿は見えない。
「まさと? けんご?」
 仲間内のふたつの大きな背中はどこにもない。
「……きょーすけ」
 とうとう心細くなってその名前を呼んでしまう。
 最初に呼んだ名前だった。最後に探した名前だった。
 彼らの他に無条件に助けを求められる宛てを幼い子供は知らない。
 不安がぎゅっと胸を押し潰す。
 その瞬間、か細い声に応えるかのようにぱっと光がまたたいた。
「よかった! ここにいた!」
 どこからもってきたのだろう、その手には懐中電灯が握られていた。
 暗闇をくりぬく眩い光を手にする少年。それは、理樹のよく知る顔だった。
 話を聞くと、知らず知らずの間に神社の裏手に出てしまっていたらしい。
 真人も謙吾も鈴も恭介とは別の方向へ人混みにはぐれた理樹を探しに行ってくれていた。
 理樹の目尻に生ぬるい水が浮かぶ。
 ふっと頬を濡らす雫は不安ではなく安堵からあふれた。

「りきは泣き虫だなあ。男っていうのはさ、我慢できないくらい痛い時しか泣いちゃいけないんだ」
「うう……、でも、ぼく……」
 うめき声の続きはもう言葉にならない。
 そんな理樹を見つめて、なんとかして励まそうと、恭介は記憶を探る。
 泣き出しそうでたまらなかった時、自分はどんな風に笑っていたかを思い出しながら。
「涙が流れそうになったら空をみるんだ。
 そうすれば昼の日には青空が、帰り道には夕焼け空が、夜の町にはいくつもの星が見える。
 そしたらさ、涙なんてどっかに飛んでいっちゃうだろ?」
「……うん」
 それでも、曇りきった理樹の表情が晴れることはない。
 なにか良い手はないかと考え始めると、理樹の固く握られた手が視界に入った。
 すぐに思いつく。その手の中のものは十中八九おみくじの結果が書かれた紙だろう。
 それなら、あとは簡単だった。
「ほら」
 手の平をのべて、小さな紙切れを差し出す。
 そこに示された結果は『大吉』。
 今年は新年早々運がいいなと思いながら手にしたものの、理樹がこの様では意味がない。
「交換しよう、りき。みんなには秘密だからな」
「でも、そしたら、きょーすけが」
 チッチッチと、少年が指をふる。
 ポケットに入れた小銭入れからしわくちゃになった一枚の紙切れを取り出した。
「大吉なら、ここにもう一つある」
 にかっと笑う。
 恭介の手に握られているのは去年の元日この神社で引いたおみくじだった。

 それをみんなに見せて「今年はおれとりきのワンツーフィニッシュだ!」と
 誇らしげにする様子は頼もしくて。
 嬉しくて。幸せで。楽しくて。
 帰り道もぎゅっと握りしめたポケットの中の大吉が温かく感じられた。
 手袋をしていない恭介の手に引かれながら、手離さないようにと理樹は強く思った。

 その翌朝。
 ズボンにいれっぱなしにしていた小さな紙切れは、洗濯機に回されて文字も読めないくらい粉々になってしまっていた。





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